2020年12月03日
母乳での子育てでのメリットや特徴について
赤ちゃんが生まれて最初に口にするもの、それは母乳です。
「母乳で育てたい」というママたちの意見も多く、ここ10年でも実際に母乳で育てているママの数は増加しています。
母乳で育てることによって赤ちゃんへのメリットが5つもあるのです。
① 赤ちゃんの体に最適な成分で消化しやすい(赤ちゃんに対するメリット)
② 感染症などの病気から守ってくれる(赤ちゃんに対するメリット)
③ 卵巣がん・乳がん・子宮体がんなどの病気から守る(ママに対するメリット)
④ 産後の体の回復を早くする(主に子宮の収縮や体重減少)(ママに対するメリット)
⑤ 絆を育む(赤ちゃんとママ両方に対するメリット)
《初乳》という乳房の中で妊娠中期から少しずつ分泌の準備が始まり、出産後2日ごろまで分泌されるのが《初乳》と呼ばれています。
初乳は少し黄色みを帯びた半透明な液体でたんぱく質が豊富でさらにはビタミン・ミネラルも多く含んでいます。
初乳で最も特徴的なのが【赤ちゃんの免疫助ける物質をたくさん含んでいること】です。そして初乳に求められる大きな役割は《感染症から赤ちゃんを守ること》なのです。また、初乳は赤ちゃんが最初に出すうんちの排出を助ける下剤としての役割もあるのです!
原則的に無菌の子宮から出てきた赤ちゃんの最大の問題は細菌やウイルスなどの病原体に感染する可能性が高いことです。
初乳に含まれているどんな成分がどのように赤ちゃんの体を守るのかは、これからお話しますね(^o^)/
◎感染を防止する成分って何?
初乳には《免疫グロブリン》《ラクトフェリン》《オリゴ糖》などの成分が含まれており、以下のような働きをしています。
まずは免疫グロブリンから
■免疫グロブリン…腸や気道に侵入した病原体から体を防御する役割を担っています。
■ラクトフェリン…ウイルスの活性化を抑えたり、免疫を調整したりするたんぱくで炎症を抑える作用があります。
■オリゴ糖…ビフィズス菌の発育に必要な糖で、腸内で善玉菌を増やす働きがあります。それによって病原菌が粘膜から体内に入り込んだり、増殖したりするのを防いでくれます。
上記の他にもビタミンA・Eなどの抗酸化物質、免疫細胞の白血球も多く含まれており、赤ちゃんを感染から守っています。
初乳が天然のワクチンと言われているのはこうした理由からなのです!
一方、初乳の後に分泌される《成乳》は乳白色で不透明なのが特徴。いわゆるミルクの色に近くなります。
赤ちゃんの成長に必要なたんぱく質や乳糖・ビタミン・脂質・成長因子が含まれるホルモンなどが多く含まれ、初乳よりエネルギーは少し高めです
たんぱく質は初乳では免疫に関係するものが多く含まれていたのに対し、成乳には赤ちゃんの成長に欠かせず、かつ消化や吸収の良いカゼインという種類が豊富なことが判明されています。
脂質は脳や視力の発達を助ける多価不飽和脂肪酸(アラキドン酸やドコサヘキサエン酸)が多いのが特徴的で、これらは赤ちゃんの知能と神経が成長していくうえで重要な役割を果たしていると言われています。
◎栄養豊富な母乳を出すために必要なことは?
母乳は、ママの体を流れる血液の成分を元にして作られています。母親が摂った食べ物は胃や腸などの消化管で消化・吸収され、消化酵素によってブドウ糖やアミノ酸などに分解されてから血液と共に全身に運ばれ、乳房にある乳腺組織に取り込まれて母乳となります。
母乳の成分は乳腺組織によってコントロールされており、食べたものによって母乳の成分が変わるなどということはほとんどありません。「塩辛いものを食べたら」「甘いものを食べたら」「脂っこいものを食べたら」と味が濃いものを食べたとしても変化は基本的にはありません。
食べたもの=母乳というような単純なものではなく「○○を食べるとよい」などといった信ぴょう性のない情報はあまり信じない方がいいですよ!
そして出産後出来るだけ早いうちに頻回に授乳や搾乳をすると母乳の生産量は早く増えるとのことです。個人差はありますが、授乳の回数が多いほどたくさんの母乳が作られます。
これは乳房内がどのくらい「空」になったのかが次回の授乳量の目安になるからです。
また、高脂肪食の食事を摂るとおっぱいが詰まりやすいと言われることがありますが、これについてははっきりとした根拠や医学的な見解はなく、乳管の詰まりを防ぐには食事内容よりも赤ちゃんがきちんと母乳を飲みとることが出来るよう適切な【抱き方・含ませ方】をしているかどうかのほうが大切だと言われています。
もし、母乳の出方が気になる場合は、まずは適切な抱き方やおっぱいの含ませ方をしているか確認してみるといいでしょう。
◎授乳期間中はいつもより少し多めのエネルギー摂取と十分な水分補給を取るように
厚労省の「日本人の食事摂取基準」では、授乳中はいつもの摂取エネルギーよりも1日あたり350kcal増やすことが推奨されています。
和定食やうどんなどで、軽めの食事を1食分増やすと、だいたい350kcalになります。朝昼晩の食事の中で少しずつ増やすのも良いですし、むずかしい場合は間食などで補うのも良いでしょう。
もう1つ大事なのは、水分摂取です。産後、授乳中はとくに水分不足になりやすいので注意が必要です。
人間の体を構成する成分の約60%が水分とされ、1日に必要な水分量は、その人の活動量にもよりますが、およそ2.5リットルといわれています。このうちの4割程度は食事で摂取するため、水分としては1日1.2リットルくらいを目処に飲むようにします。
喉が渇いてから飲むのではなく、喉が渇いたと感じる前に早めに、こまめに水分補給するのが上手な水分補給のポイント。
※特に汗をかいて水分が不足しがちな、入浴後や起床時には意識して摂るようにしましょう。
食べたものによって母乳の成分が変わることはほとんどないと紹介したとおり、食事内容にあまり神経質になる必要はありませんが、バランス良く栄養を摂るよう心がけることは大事です。
授乳中のママに特に必要な栄養素は、タンパク質、カルシウム、鉄などです。これらは通常時の摂取量に上乗せして摂ることが勧められています。
肉や魚、卵、大豆・大豆製品、乳製品などのタンパク源のほか、緑黄色野菜、小魚、海藻、キノコ類などもしっかり食べましょう。
産後ダイエットのため、脂質を制限するママもいるようですが、授乳期には必須脂肪酸も必要で、EPAやDHAを摂るよう推奨されています。こうした成分が含まれる魚などはできるだけ食べたいものです。
母乳栄養で不足が気になるのは、ビタミンDとKです。
ビタミンDについては、2017年の日本外来小児科学会で「母乳で育てている赤ちゃんの75%がビタミンD不足」という結果が発表されました。
ビタミンDは骨の発育を促す成分なので、不足すると骨の変形や成長障害を起こす「くる病」になるリスクが高まります。
ビタミンDは母親の摂取量が母乳中濃度に影響します。
ビタミンDが豊富な食べものは、魚や卵、キノコ類です。また、ビタミンDは食事からだけではなく、日光浴によって皮膚の上でも作られます。
日焼けや皮膚への悪影響を心配して、帽子や日焼け止めにより紫外線を過剰に避ける生活を続けるとビタミンDが不足することもあります。そのため、散歩や外気浴で赤ちゃんが日光を浴びることも大切なのです。
ビタミンDが不足しているのではと心配なときは医師や助産師に相談のうえで、必要に応じてサプリメントを利用するようにしましょう。
ビタミンKは、胎盤を通過しにくく、母乳中の含有量が少ないことから、乳児ではビタミンK欠乏症になることがあります。
ビタミンKが欠乏すると、皮膚・粘膜・消化管や脳などから出血しやすくなります。そのため、赤ちゃんにはビタミンKシロップの投与が行われています。
母乳をあげているママには、母乳中のビタミンKを増加させるためにビタミンKを豊富に含む食品(納豆、緑黄色野菜)を摂取することが勧められます。
ビタミンKは初乳に含まれる濃度が最も高く、その後、成長とともに赤ちゃんの腸内で産生されるようになります。
いかがでしょうか。
大事なのは、母乳で育てるかミルクで育てるかではなく、そのママと赤ちゃんに合った方法で授乳し、親子の絆を大切に、体と心の成長を見守ってあげられること。
さまざまな情報に惑わされず、自分に1番合った方法で子育てをしたいものですね。